SNAPZOOM(スナップズーム)。スマホアダプターの中では高価だが、軽量(121g)で調整範囲が広く、新旧の双眼鏡を問わず装着できる。鞄に常備するには嵩張るので、よりコンパクトになるとなお良い。
コリメート撮影では、双眼で観た立体感や、ハイエンド機種の解像力まで再現できないとはいえ、個性や雰囲気の違いは伝わるだろうか。
*iPhone SE2使用。アオサギ:<上>25m先からEL10x50SV WB、<下>少し近づいてDesign Selection 8x56
ツノ見口のDSは(ベストなアイポイントから6mm後方での撮影となり)ピンも合わせづらく、ケラレて像も大幅に崩れた。平型目当てを工作すれば、改善できるかもしれない。
また、複数の双眼鏡を交換していると、振動でカメラレンズの位置がズレることがあるので、付属のクッションテープで、スマホ側は堅めに固定する必要がある。
肉眼で見比べると、ELは細部まで鋭敏(写実的)な描画、DSは濃厚(絵画的)で生気溢れるが、コリメート撮影には、隅まで像の崩れなく平坦なELの方が適している。
*写真は150m先の神社と、50m先のツツジの花
スキッパーのシズル感も、写真では再現が難しい。肉眼でも、他の双眼鏡より青〜緑成分の透明感が強く、Dialyt特有の濃厚さを保ちながらも、その瞳径(7mm)に輪をかけて明るく感じる。
*眼球の分光透過率の加齢変化:赤の波長(570nm)の透過率が、20歳:85%、45歳:75%、60歳:60%と緩やかに減少する一方、青の波長(445nm)は、20歳:70%、45歳:50%、60歳:30%と半分以下になる(個人差あり)。青の波長まで万遍なくカバーする双眼鏡の像を、透過率以上に明るく感じたり、(若年時に)眩し過ぎると感じる理由は、そんなところにあるのかも
*写真は3m先のツツジの花と、7m先のアオサギ。カワセミは、アオサギを警戒してか現れず
20x60Sの防振ボタンを押しながら、iPhoneの撮影ボタンをタップするのは意外と難しい。タップする瞬間、防振ボタンを押している左手で双眼鏡全体を支える必要があるため、ブレやすく、肝心の防振が利きづらくなってしまう。(声シャッターアプリやイヤホンケーブルの音量ボタンで撮影という手もアリ)
2枚目の月面写真は、20x60Sと"Vespera"(倍率は33倍相当)の撮影比較。
*写真は550m先の鉄塔(窓ガラス越し)
*Vespera:Vaonis社の電子観望カメラ→都心/フィルターなしの例
月面X(ルナ・エックス)。iPhoneかつ三脚無しで像は粗いが、X以外にもL、O、V、Eを確認できた。
(撮影だけなら、COOLPIX P1000の方が良い)
*VとLは時計回り90°、Eは反時計回り90°傾き。Eはうっすら見える程度
【SNAPZOOM II の評価まとめ】
強み
- 調整範囲が広く、(特殊な型でなければ)新旧の双眼鏡を問わず装着できる。*
- 軽量(121g)。
- スマホを横向きにセット可能。機能性重視で、付属品も多い。
弱み
- 双眼鏡の接眼見口の形状やアイポイントによっては調整しづらい。
- 常に携行するには、嵩張(かさば)る。
- 接眼の眼幅が固定。双眼鏡で観て撮ってを繰り返す場合、着脱の度に調整が必要。
*特殊な接眼形状の双眼鏡(Deltarem、Nikon WX)には装着できない。