双眼鏡 防湿庫

〜 カール・ツァイスの趣ある旧式双眼鏡の備忘録 〜

Dialyt 6x42 Skipper + Mono 3x12B 

仕事鞄に常備。単眼鏡(Mono 3x12B)と一緒に持ち歩いている。

6倍IFなので鳥見には向かない。日中は、風景を見渡したり、近景や植生が中心。夜間は天の川をざっと見渡し、ターゲットを見つけ、20x60Sに切り換える。強烈なヌケの良さ、世界をより美しく描写し、とりわけ近景を芸術まで昇華させる光学性能。

Dialyt 6x42 skipper

スキッパーの視界を通すと、世界はこんなにも様々な生命が絡み合い、力強く、その息吹に溢れていると感じられる。星見では、輝星と微光星が醸し出す奥行により、ペルセウス二重星団が天の川に浮く宝石の様で、印象に残っている。

Dialyt 6x42 skipper

(専用アダプタで)Mono 3x12Bを合体し、近距離の植生を顕微鏡で覗くように観察できる。桜の花のめしべや花粉の詰った葯がキラキラと瑞々しく、とても存在感のある像に心奪われ、時間が経つのを忘れてしまう。

Dialyt 6x42 skipper

2年前ドイツ本国送りでオーバーホール。光学系はプリズムのみ残し、接眼ユニット、対物レンズを交換(当時の交換部品の在庫は、製造終了後30年までなので、そろそろ期限だ)。細かい拭き傷が無くなり、気持ちコントラストが上がったようだ。見かけ視野角は50.8°だが、1000m視界148mなので、Dialyt 7x42(150m)と大きな差はない。透過率は91〜92%。明らかにDS(91%)よりは明るく、SF8x42(92%)に近い。

Dialyt 6x42 skipper

2010年birdforumで、その光学系は、Dialyt 7x42の対物レンズ・プリズムとDialyt 8x56の接眼ユニットの組合せであるという書き込みや、日本の双眼鏡愛好家による個人掲示板にて、視野環絞りについての考察等がされていた。ツァイス担当者からも、6x42の接眼は8x56の流用であるとは聞いていたが、どう加工したのかは謎であった。

そんなスキッパーの謎もジャングルさん(検索非球面さん)により、レンズコバの削り込みにより実現されていたと解明され、なるほどスキッパーで見る野辺山での天の川が、30年前に8x56 Dialytで見たそれにとても似ていたのはそういうこと(想い出補正ではなく光学的理由)だったのか、と合点がいった。

 

6x42 dialyt skipper

機材: 6x42 Field 8.4°1000m視界/148m

射出瞳径: 7mm

 

【 シリアル番号について 】

ツァイスの場合、シリアル番号と製造時期は大まかな目安にしかならないが、この個体の番号は461***で、前期仕様。

確認できたサンプルでは、前期仕様(軸ライン無):34****、39****、46****。後期仕様(軸ライン有):36****、46****、56****と分布。46****は後期仕様の方が多い。390***にT*表記のみの個体があったらしい。フェイズコート移行期の隠れP(ラベルはT*だけと実際はT*P)かも。

  

【 追記 Apr 5, 2021 】

双眼鏡愛好家たちの長年の疑問に終止符を打った、ジャングルさん(検索非球面さん)によるレビュー。

深い造詣と卓越した視点で、ハイエンド・ローエンド問わず、様々な光学機器の特性を解き明かされている。

 

 

 

 

 

 

 

 

【 追記 Apr 19, 2021 】

SNAPZOOM II でのコリメート撮影を以下に追加。